2007年07月14日

変形性膝関節症・膝痛に対する鍼(針・はり)治療

変形性膝関節症や膝痛に対しては、以下のような目的で鍼治療を活用できます。

@膝周辺の筋肉の緊張緩和・疲労回復促進
太ももやふくらはぎ、殿部などの筋肉に鍼を行なうことで、それらの筋肉の緊張をゆるめて柔軟性を高めます。
また、疲労回復をうながして筋力の低下を抑え、膝関節の運動機能の回復を早めます。

A関節部の痛みの緩和
痛めた部位やその周辺に鍼を行うことで、その痛みをやわらげ、また周囲の筋緊張をゆるめたり、血流を改善させて損傷された部位が治るのを助けます。

これらにより、変形性膝関節症や膝痛の痛みをやわらげ、また痛みやこわばりによって妨げられていた運動障害を改善させることが出来ます。

変形性膝関節症、膝痛、腰痛に悩む、あなたのための鍼灸治療室
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国際シンポジウム:変形性膝関節症の鍼(はり)治療

近年、変形性膝関節症に対する鍼(はり)治療の研究が、先進諸国の研究者の方々によって行われています。

鍼(はり)治療の研究は、プラセボ(偽薬、偽の介入方法)との比較がしにくいことから、これまで医学的価値が低いとされてきました。

しかし、近年は多施設でのRCT(無作為化比較試験)という研究が海外で多数行われるようになりました。
変形性膝関節症においても数百名規模でのRCTが行われています。
全日本鍼灸学会国際シンポジウム_エビデンスに基づく鍼灸治療の現状.jpg
2006年11月には、変形性膝関節症の鍼治療についての
国際シンポジウム
が京都で開催され、変形性膝関節症の
鍼治療に携わる第一線の研究者の方々が各国から集い、
最新の知見が発表されました。
もちろん矢野も参加し、勉強させて頂きました。ドイツのClaudia M. Witt先生には、懇親会時に臨床でのアドバイスも頂き、感激して帰ってきました。
Acupuncture_in_Medicine補刊_変形性膝関節症に対する鍼治療のエビデンス.jpg
また、そのときの発表内容は、英国Acupuncture in Medicine誌の補刊として発行されています。

主な発表;
●変形性膝関節症に対する治療の現状
 ・Osteoarthritis of the knee – an introduction
  変形性膝関節症 − 総論
  Adrian White先生(イギリス)

●臨床試験にみる鍼治療のエビデンス
 ・Acupuncture for knee osteoarthritis
   − a randomized trial using a novel sham
  変形性膝関節症に対する鍼治療 − 偽鍼を用いた無作為化比較試験
  Eric Manheimer先生(アメリカ)
抄録和訳文を見る→

 ・Acupuncture vs Streitberger needle in knee osteoarthritis
   − an RCT
  Streitberger偽鍼を用いた変形性膝関節症に対する鍼治療の
  無作為化比較試験
  Jorge Vas先生(スペイン)
抄録和訳文を見る→

 ・Efficacy, effectiveness, safety and costs of acupuncture
  for chronic pain − results of a large research initiative
慢性痛に対する鍼治療の効果、有効性、安全性、および費用対効果
に関するドイツの大規模研究
  Claudia M. Witt先生(ドイツ)  抄録和訳文を見る→

●鍼治療の効果のシステマティックレビュー
 ・The effectiveness of acupuncture for osteoarthritis
  of the knee − a systematic review
  変形性膝関節症に対する鍼治療の効果
   − システマティックレビュー
  Adrian White先生(イギリス)

●鍼治療と安全性
 ・Safety of acupuncture for osteoarthritis of the knee
  − a review of randomized controlled trials, focusing on
   specific reactions to acupuncture
  鍼治療の安全性に関する調査研究
  山下仁先生(日本)

・The safety of acupuncture − evidence from the UK
  鍼治療の安全性 − 英国におけるエビデンス
  Adrian White先生(イギリス)

●鍼治療の効果と作用機序
・Mechanisims of action of acupuncture for chronic pain relief
 慢性痛に対する鍼鎮痛の作用機序
 川喜田健司先生(日本)
・Some of the effects of acupuncture in the knee pain may be due to activation of the reward system
 膝痛に対する鍼治療効果における報酬系の役割
 Thomas Lundeberg(スウェーデン)

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臨床試験にみる、変形性膝関節症への鍼治療の科学的根拠@

・Acupuncture for knee osteoarthritis – a randomized trial using a novel sham
変形性膝関節症に対する鍼治療 − 偽鍼を用いた無作為化比較試験
Eric Manheimer先生(アメリカ)
変形性膝関節症に対する鍼治療_偽鍼を用いた無作為化比較試験_E_Manheimer.jpg
抄録和訳(部分的に本文の内容を付加しております)
 文責:矢野健太郎

○背景:
変形性膝関節症の痛みや機能障害についての、鍼治療の効果に関する科学的根拠は未だ不明確であった。

○目的:
変形性膝関節症の患者に対し、鍼治療が偽鍼や患者教育と比較してより高い疼痛緩和や機能改善をもたらすかを検討する。

○研究デザイン:
無作為化比較試験(RCT)

○対象とした施設:
2ヶ所の外来施設(大学の統合医療診療科、リウマチ科)および1ヶ所の私的研究施設

○被験者募集:
変形性膝関節症患者570名(年齢:65.5±8.4)

○介入方法:
鍼治療群、偽鍼治療群は26週間にわたり23回の治療を行なった。
患者教育群は12週間にわたり6回、2時間の患者教育を行なった。

○評価方法:
・WOMAC 疼痛スコアおよび機能スコア 
 (WOMAC:西オンタリオ大学・マクマスター大学変形性膝関節症指標)
・SF-36(包括的健康関連QOL尺度評価票)
・包括的患者評価
・6分間歩行距離
WOMACと包括的患者評価は、開始時、4、8、14、26週目に評価
SF-36と6分間歩行距離は、開始時、8、26週目に評価

○結果:
8週目において、鍼治療群は偽鍼治療群よりもWOMAC機能スコアが有意に改善していた。(平均値の差:-2.9[95%信頼区間:-5.0〜-0.8]P=0.01)
WOMAC疼痛スコアと包括的患者評価については有意差はみられなかった。
26週目においては、鍼治療群は偽鍼治療群よりも以下のよう有意に改善していた。
WOMAC機能スコア(平均値の差:-2.5[95%信頼区間:-4.7〜-0.4]P=0.01)
WOMAC疼痛スコア(平均値の差:-0.87[95%信頼区間:-1.58〜-0.16]P=0.003)
包括的患者評価(平均値の差:0.26[95%信頼区間:0.07〜0.45]P=0.02)
SF-36と6分間歩行距離については有意差はみられなかった。

○本研究の限界:
26週目において各群ともに以下のよう被験者の脱落がみられた。
(鍼治療群25%、偽鍼治療群25%、患者教育群43%)
ただし、脱落者と非脱落者の比較では、脱落と鍼治療群と偽鍼治療群の効果に交絡はみられなかった。

○結論:
鍼治療は変形性膝関節症の補助的治療法として、偽鍼治療や患者教育よりも機能の改善や疼痛の緩和に有効と考えられる。

和訳参考文献:
矢野忠,川喜田健司他:エビデンスに基づく変形性膝関節症の鍼灸医学.医歯薬出版,2007年;25-35

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臨床試験にみる、変形性膝関節症への鍼治療の科学的根拠A

・Acupuncture vs Streitberger needle in knee osteoarthritis – an RCT
Streitberger偽鍼を用いた変形性膝関節症に対する鍼治療の無作為化比較試験
Jorge Vas先生(スペイン)
Streitberger偽鍼を用いた変形性膝関節症に対する鍼治療の無作為化比較試験_J_Vas.jpg
抄録和訳(部分的に本文の内容を付加しております)
 文責:矢野健太郎

○目的:
変形性膝関節症に対する薬物療法の補完療法としての、鍼治療の効果を検証する。

○方法:
無作為化比較試験(RCT)※一重盲試験
変形性膝関節症の患者を、鍼治療群、もしくはStreitberger偽鍼を用いた偽鍼治療群に無作為に振り分けた。各群ともに週1回の頻度で12セッションの介入を行なった。

○評価方法:
試験開始前、および試験開始後4、8、12、16週目に評価した。
・WOMAC 疼痛スコアおよび機能スコア 
 (WOMAC:西オンタリオ大学・マクマスター大学変形性膝関節症指標)
・VAS(Visual Analog Scale:視覚的疼痛評価スケール)
・PQLC(慢性病のQOLプロフィール)

○結果:
97名の外来患者が試験に参加し、うち88名が解析対象となった。それらは身体所見においては脱落群9名との間に有意差はみられなかった。
VASの相対変化に対する多変量PPモデルは、偽鍼治療群と比較して鍼治療群において43.7%(95%信頼区間29.4%〜58.0%)の減少を示した。この減少はITT分析において32.4%(20.3%〜44.4%)と低かった。WOMAC合計点の相対変化に関しては、多変量PPモデルは52.0%(34.3%〜69.6%)、ITT分析では37.6%(22.4%〜52.8%)の減少を示した。

○結論:
鍼治療群は偽鍼治療群に比較して、疼痛の程度のVASやWOMACスコア、非ステロイド系抗炎症薬(ジクロフェナク)の服用量を有意に改善させた。


和訳参考文献:
矢野忠,川喜田健司他:エビデンスに基づく変形性膝関節症の鍼灸医学.医歯薬出版,2007年;36-47

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臨床試験にみる、変形性膝関節症への鍼治療の科学的根拠B

・Efficacy, effectiveness, safety and costs of acupuncture for chronic pain – results of a large research initiative
慢性痛に対する鍼(はり)治療の効果、有効性、安全性、および費用対効果に関する
ドイツの大規模研究
 Claudia M. Witt先生(ドイツ)
慢性痛に対する鍼治療の効果_有効性_安全性および費用対効果に関するドイツの大規模研究_C_M_Witt.jpg
抄録和訳(部分的に本文の内容を付加しております)
 文責:矢野健太郎

○背景:
鍼治療を標準的な医療的処置の中に含められるか検討するにおいて、良質のデータが不足していることは明白である。
そこで本モデルプロジェクトは、変形性股関節症、もしくは変形性股関節症による疼痛、腰痛、頚部痛、頭痛のいずれかの慢性的な病態に対する鍼治療の効果、有効性、安全性、および費用対効果を検討することを目的とした。

○方法:
10,000名以上の医師によって治療された計304,674名の患者が、2000年12月から2005年3月の間に研究に参加した(男34.5%(年齢53.1±13.8)、女65.5%(年齢49.5±14.2)。
鍼治療群の患者は慢性痛に対し3ヶ月間のうちに10±3回の鍼治療を受けた。

○結果および結論:
我々の解析結果においては、一般的な医療的処置に加えての鍼治療は効果的かつ安全なものであった。
この解析結果が一次的に鍼治療によって特異的にもたらされたものか、もしくは非特異的な機序によるものかは、さらなる検証が必要である。
鍼治療を処置の一手段として加えることは、一般的な医療的処置のみの場合よりも費用はかかるものの安全であり、国際的に受け入れられている基準からみればその費用対効果は良好である。

※補足:
本プロジェクトの結果の一部に基づいて、ドイツ連邦保険医協会は、鍼治療を変形性膝関節症もしくは慢性腰痛に対する医療的処置の一方法として、一般的に提供することを2006年4月に提案した。

和訳参考文献:
矢野忠,川喜田健司他:エビデンスに基づく変形性膝関節症の鍼灸医学.医歯薬出版,2007年;57-65

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