つつあるものです。
そして、その機序は、身体の自己治癒力を活用するものであり、
大きな問題となるような副作用は生じません。
また、鍼灸により期待できる効果はWHO(世界保健機関)が、
運動器系や消化器系をはじめとする41の疾患を鍼灸の適応疾患として
公認するなど、国際的にも認知されています。
さらに、近年では科学的な研究報告が多数なされてきた結果、
ドイツでは変形性膝関節症などの疾患に対して、健康保険を適用して
鍼治療ができるようにまでなっています。
鍼灸に期待できる効果は、以下の5つに大別できます。
@筋緊張の緩和・筋疲労の回復促進
筋肉の緊張をゆるめ、筋疲労(こり、張り、痛み)の回復をうながします。
筋肉は鍼灸刺激を受けると、
反射的に緊張をゆるめます。
また、施術部位周囲の毛細血管も
反射的に拡張し、新陳代謝が
高まります。
その結果、たまっていた疲労物質が
流されて、筋肉の疲労がより早く
回復します。
肩こりやスポーツ等での疲労回復に
好まれるのはこのためでしょう。
A痛みの緩和
関節や筋肉の痛み、 神経痛などをやわらげます。
筋肉痛や神経痛、怪我などによる
痛み刺激は、その部位から脊髄へ、
脊髄から脳へと、いくつかの神経を
中継して伝わっていき、
脳で痛みとして感じとられます。
鍼灸刺激は、この中継点での情報伝達を麻痺させることにより、
脳が痛みを認識しないようにし、痛みの悪循環を断ち切ります。
これは、よく知られている“脳内麻薬”を引き出すことによります。
これは、腰痛などの他、打撲や捻挫の回復促進にも活用されます。
B内臓機能の調整
不調になりがちな内臓の状態を整えます。
古来“ツボ”と考えられていた体表への
刺激についても、現代医学的に研究が
進んでいます。
例えば、内臓と同じ高さにある体表
(例:胃→みぞおちの下、腎臓→腰)
を刺激することにより、内臓の状態を
調整できることが明らかにされてきています。
これは、体表からの神経と、内臓からの神経が、脊髄で次の神経に
中継されるところで“混線”を起こしているため、内臓からの刺激が
体表に伝わったり(例:胃炎のときにお腹を押すと痛む)、鍼灸の
ような体表の刺激が内臓に影響を与えると考えられています。
C自律神経系の調整
全身の体調を整えます。
からだは、自分の意志以外にも、
自律神経系というシステムで
コントロールされています。
これは“闘争の神経”(交感神経)と、
“整備・休養の神経”(副交感神経)
からなり、相反する2つが綱引きを
するように、闘うべきとき、休むべきとき、とその場の
状況に合わせて身体状態を調整します。
しかし、残業づくめで満員電車通勤、仕事にスポーツにとの奮闘、
パートに育児、介護、家事の四重苦・・・ このように多種多様の
ストレスがあふれている現代社会は、自律神経系のバランスを容易に
崩します。
鍼灸刺激は、この自律神経系に作用し、アンバランスを調節できる
ことが明らかにされてきています。
ギターの弦はいつも張っていたら切れてしまいますし、張らなければ
鳴りません。鍼灸は調律に活用できるのです。
D免疫機能の改善
外敵から身体を守る、免疫機能を高めます。
身体には、免疫系という外敵から身体を
守る高度なシステムがあります。
いわば“身体防衛軍”です。
鍼灸刺激(特に灸)は、あたかも身体が
怪我や火傷を負ったように脳に“勘違い”
させるのです。
そのため、身体に危険が迫っていると
勘違いした脳は“身体防衛軍”に
スクランブル出動をさせるのです。
免疫系に対する鍼灸の作用についても、戦前より
研究が進んでおり、様々な事が明らかにされています。
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